触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「違っ…!そうじゃない!」
「じゃあまだファーストキスなんだよね?」
「………そうでもない」
「ちょっと…!」
ポカスカと叩かれて痛くないけどグイッと引き寄せた。
肩に手を付き少しだけ乗り上げる細い素足。
「もう、俺のファーストキスは奈那と済ませてる」
「え……!?」
見る見るうちに真っ赤に染まる頬。
今の奈那はわかりやすい。
そんな顔……俺にしちゃうんだ?
「奈那が夜中まで勉強して次の日早起きしてまで俺にひよりちゃんのこと大事にしろって言った日あったじゃん?」
「うん……覚えてる」
「言うだけ言って俺の前でまた爆睡したのね?」
「嗚呼……何となくそうだった気がする」
「そのまま部屋まで運んで、ベットに寝かせた…」
「え、その時に…!?」
思い出しただけでこっちも真っ赤になる。
「寝言で名前呼ばれたら我慢出来なかった……ごめん」
「それはそれで嬉しいけど……全く覚えてないのは癪にさわる」
「でも!本当チュッて軽く……1回……いや、2回?」
正直に話し過ぎだろ!と自分にツッこむ。
お互い耳まで真っ赤とか恥ずかしい雰囲気。
「だったら言い方変える…」
「え…?」
再び見つめ合う瞳はさっきより熱っぽい。
この視線と距離に何度狂わされてきたのか。
いくら予防線を張ったって見事に崩してくるよね…?
完全に上に乗っかってきた奈那。
「誰とも…じゃなくて、私以外とキスしないで…」
心臓がドクン…!と跳ね上がる。
びっくりして声が出ない。
こんなこと言うとは思わなかったから。