触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





で、両想いになった今。
やり遂げなきゃならないこと。




俺の部屋に桜井さんと奈那の3人。
俺と並んで奈那が座り、向かい合わせで桜井さんが座ってる。




「この展開からすると……まさかの、そのまさか…?」




切り出し方のわからない俺たちと慣れた様子の桜井さん。
最初に口を割ってくれた。




2人して頭を下げる。




「本当にごめんなさい…!」




「てことは……通じ合えたんですか?」




気を遣って少し声のトーンを下げてくれた。




「えっと………うん」




急に立ち上がりテーブルをずらした桜井さんは俺たち2人を同時に抱きしめた。
噛みしめるように「おめでとうございます」と言われ奈那は泣きそうになってる。




「おめでとう、ヒロくん」




「ありがとう……何から何まで」




「そっか〜ついに、ていうか長過ぎるよ2人とも」




こんなあっさり簡単に笑い話にしていいのだろうか……?
拍子抜けしてたら奈那の方から桜井さんの手を握り返した。




「同性だからわかると言うか、女の勘と言うか…ひよりちゃんがちゃんと好きでいてくれたことは痛いくらい伝わってたよ。横取りしてごめんなさい…」




「え、ヤダなぁ……見抜いてたんですか?やっぱ奈那先輩には敵わないね〜」とおどけてくれる。
でもすぐ後に付け足した。




「はい、好きで…した!過去形です、これは信じてください……もうムカつくくらい奈那先輩のこと好きなんだもん、入る隙ないって諦めつきました。横取りしようとしたのは私で……呆気なく玉砕しましたけどね」




「私のこと試したんだってね?」




しんみりする雰囲気かと思えば一瞬で凍てつく空気に…!
握りしめてた手は握手に変わり力こもってんのが見ててわかる。
顔が引きつっている桜井さん。




「ひ、人聞き悪いですね〜試すも何も、奈那先輩からも好き好きオーラ出まくってましたよ?端から見てて面白くって…いや〜からかい甲斐ありましたね」






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