触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
乱れた服を直し「おかえり〜!」と玄関に向かう奈那。
マジやべぇ……
「おかえりなさい」
ぎこちなく迎えた俺はソファーに座りゲームをしてたフリ。
まだ収まってないのはクッションで隠した。
チラッと目が合ったけどバレないようウィンクで誤魔化された感……
もしかして、この空気楽しんでる……?
先に部屋に戻っちゃった。
すぐに動けない俺を置いてっちゃうんだもんなぁ。
LINEのメッセージが入る。
(先輩と会ってくるけどすぐ帰るから心配しないでね)
なぬっ!?本気だったの!?
(待って!)
(ヒロ、動けないでしょ?信じて待っててね♡)
ちょっと…!!
降りてきた奈那を見てシュンとする。
そこそこ可愛い格好してんじゃん。
まだ中腰しか出来ない自分を本気で呪った。
「わ、美味しい…!」
涼子さんが買ってきたゴ○ィバのチョコレート1つ食べて唸ってる。
出掛けること、2人は知ってたっぽい。
何だよ、また俺だけ蚊帳の外?
「帰りは何時〜?」と涼子さんが聞いてる。
そしたらすぐ後ろで「5時くらい〜」って奈那の声がしてびっくりした。
ソファーに居る俺のところまでこっそりチョコレートを持って来てくれて、あ〜んと口に入れてくれた。
「ヒロが好きって言ってくるね」
聞こえないようにそう耳打ちしてくる。
だから心配なんでしょうが…!と言いたいところだけどズルい逃げ方だなって思う。
(共通の友達に連絡取って一緒に会ってもらうから大丈夫だよ、連絡先交換してないから安心してね?)
(共通の友達って男?)
(女の子だよ)
(どこで会うの?)
(○○って前に住んでた駅)
結構遠いじゃん。
1人で絶対危ないってば。
コートを手に取り慌てて自分も家を出る。
いつもそうだ。
肝心なことは自分1人で決めちゃう。
そんなのおかしいよ。
その場に居なくとも近くに居てあげたい。
万が一何かあったら全力で守る。
ウザがられても無理やりついて行けば良かった。
というわけで……!!
早速追いついて尾行しているわけですが!!