触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




途中で買ってしまったサングラス。
尾行初心者かよ。
フード被って下手すりゃ不審者。
列車に揺られ行き着いた場所は
緑豊かな田舎町……ではなく、
駅前に高いビルばかりの華やいだ町…だった。




結構な都会で育ったんだな……
今の住んでるとこより栄えてんじゃん。
何だ?栄え過ぎてて逆に住み辛いとか?
ヤバっ、田舎者みたいにキョロキョロしちゃダメだろ。




なるべく見失わない距離感で。
何かあったらスマホ見てるフリで誤魔化そうと思う。
ていうか、見つからないようにあまり着てなかったコート引っ張り出したけどバレた時はかなり恥ずかしいやつだぞ。




「奈那!久しぶり〜!」




ちゃんと教えてくれた通り最初に会った共通の友達は女の子だった。
へぇ〜今どきの垢抜けた感じの子。
俺が知らない、出逢う前の奈那の友達。
そう考えたら貴重な存在に見えてくる。




可愛いな……あんなふうにも笑うんだ。
チカさんたちとはまた違う雰囲気。
そっか、こっちの方が付き合い長いのかな。
あ、歩き出した…!
追跡開始っ…!




頼む、人気の多い場所に行ってくれ…!
3人で会うって言ってたけど……
本当にアイツはノコノコやって来るのか!?
合流してすぐ友達帰らせたりするんじゃねぇだろうな!?




絶対に2人きりなんかにはさせねぇ。
その時はやっぱり……出て行くかも。
バレてもいい。
俺以外触れて欲しくないから。
独占欲強いとか関係ないし。
奈那は俺のだし。




って、公園…!?
割と広い公園だけど……
ていうか、今の時間帯だと子供連れが多いから好都合だ…!
大いに遊ばせてくれ…!




「懐かしいね〜」なんて聞こえた。
何だ、思い出の場所だったりするんだ…?
ふーん、そういうことか。




ここからだと会話は聞き取れないけど、これ以上近付くのは危険だ。
ましてやアイツはまだ来てない。
どこから現れるかわからない。
だから俺は今、草花の茂みに身を隠しているのだ。




クソっ……俺、何してんだ!?







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