触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
さて、どうすっかな。
思いきって飛び降りるか…!?
チラッと奈那が居た方を見てみると何故かバッチリと目が合ってしまった。
奈那ではなく、アイツと…!!
驚いた顔で見てる…!!
とっさに顔伏せて意を決して飛び降りた。
両足で地面に着いたらジンジンしてる。
耐えろ……俺……!!
何でもなかった顔で歩き出す。
そしたらまたミクちゃんが寄ってきた。
「あそぼあそぼ」ってそれどころじゃないんだってば。
母親また喋ってるじゃん…!
少し離れてボールをこっちに向かって蹴ってきた。
足元まで転がってきたボールを仕方なくリフティングする。
俺、サッカー下手だけどコレだけは何故か出来るんだよね。
ただモテたくて練習しただけなんだけど。
学校で実践する日は残念ながらなかったのに、まさかこんなところでする日がくるとは。
また目をキラキラさせて「すごーい!」って言ってくれるから気持ちは良いけど。
やってて良かった。
こんな小さな女の子でも格好良く思われたいもんね。
「ミクもする〜!」ってすぐ真似したがるところは可愛い。
全然出来てなくて半泣きしそうになってるとことか見てて楽しい。
嗚呼…でもそれどころじゃない。
早く元の場所に戻らないと…!
「うわ、おにいちゃんスゲー!」
「オレにもおしえてー?」
わっ、マジか。
その辺に居た男の子たちが続々と集まって来た。
興味津々に見てくれている。
どうしよう……これ、撒くに撒けないぞ?
何やってんだよ俺……逆に注目浴びるようなことしちゃった。
適当に終わらせたのに
「もっとやって」だの「教えて」だの収集つかない事態に。
「わかったわかった、教えるから…!」
頭では奈那が気になって仕方ないのに、身体は子供たちにボールの扱いを教えてる。
ある程度教えたら楽しそうに実践しててミクちゃんも笑顔だ。
そ〜っと離れてさっき居たベンチの方を見るともう姿はなく愕然。