触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




ここまで来て見失うとかどんだけバカなの?
俺……本当何やってもダメダメだ。
格好悪い。
誰にも触れてほしくなくて嫉妬心丸出しで追いかけてきたのに。




いつから居ないんだろう…?
ちゃんと3人で居るよな…?
アイツ、俺の目見てた。
気付いてないはずはない。
俺が居るって知って逃げたか?
邪魔されたくないから…?




フラれるとも知らずに…?
ていうかもし2人きりになってたらマジでアイツ何までするかわかんないよな!?
クソっ…!どこ行ったんだ!?




「おにいーたんすごい!」




小さな手を叩いて屈託のない笑顔を向けてくれるミクちゃんに少なからず癒やされる。
集まってきた男の子たちに
「おにいーたん、ヒロトっていうの」とか言って何故かドヤ顔してる。
「あんなたかーいきにのぼってくれたんだよ?」って自慢。




「かっけー!もう1回のぼって!」




ちょっと待って…!ウソだろ!?
この展開はマズイ…!!
無理無理無理っ…!!
何としてでも阻止しなければっ!!




勢いよく再び集られた俺は若干逃げ腰。
誰かの足が取ってあげたボールを蹴り、転がっていくのをミクちゃんは追いかけてった。
無理強いする男の子たちを何とか鎮めようとしたけど道路に向かっていくミクちゃんの姿を俺は見逃さなかった。




「ちょっと待って…!ミクちゃん!止まって!道路出ちゃダメだよ!」




すぐに追いかけたけどトラックが走ってきてるのが目に入った。
停まれ!って何度か叫んだ。
クソっ!何でトラックも停まらねぇんだよ!
子供見えてないのか!?




後ろの方で母親の悲鳴も耳に入ってきた。
ボールしか見てないミクちゃんを全速力で追いかける。




「ミクちゃん…!俺が取ってあげるから…!」




わずか数メートル前で気付いたトラックは急ブレーキをかけたが間に合いそうもない。
一か八か、ミクちゃんに向かってダイブする。






< 186 / 409 >

この作品をシェア

pagetop