触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




隣にぴったりくっついて食べ終わったらやっぱり「ソースついてる」って顔が近付いてくる。
そんな奈那が大好きになればなるほど
近い別れに胸が締め付けられる。




独り占め……出来なくなるんだよな。




華奢な肩を抱けば頭を預けてくれる。
この温もりごと全部俺のもんだと鍵を閉めたくなる。




「奈那………俺、奈那が好き過ぎて苦しいよ……」




絡めた指もキスする前髪も俺のだよね…?
この唇もさっきまで愛し合った身体も……




「じゃあ、その苦しみ半分背負うよ……」




真っ直ぐな視線が心をかっさらっていく。




「ヒロが楽になるまで私も一緒に苦しむよ…?」




だから泣かないで…って言われた後にギュッと抱きしめた。
力いっぱい抱きしめた。




「お願いだから奈那……俺の傍から居なくならないで……?」




ギュッと抱きしめ返してくれて奈那は言う。




「居なくならないしヒロの為に生きていくよ…?ヒロの人生頂く覚悟だけど良いよね…?」




良いも何も……俺だってそのつもり…!!
泣きそうになりながら頷くだけで精一杯の俺に優しいキス。




「幸せにしてあげるよ」って俺が言うセリフでしょ!




「ヒロの最後の人になれますように」




額を寄せ合い目を閉じて言う姿にグッときた。
バッと立ち上がる俺にびっくりさせちゃった。
ゴニョゴニョと小さな声で言ったら案の定「えっ?」と返されてあたふた……




「………ゴム買って来る!」




さっきので終わったから。
ダッシュで行こうとしたら呼び止められて。
奈那もゴニョゴニョ言ってる。




「えっ?」




恥ずかしそうに目を泳がせながら……




「………薄めのね?」




お互い真っ赤になりながらアイコンタクトで買いに走る。
俺って単純でバカだからこんなことですぐ舞い上がっちゃうんだけど、目を逸らさず返してくれる奈那の存在そのものに救われてんだ。



今だけは最高の幸せ噛みしめてて良いよね…?
今しか味わえない幸せだから。










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