触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
それはまるでご主人の合図を尻尾振りまいて待つ大型犬のよう。
袋ひとつぶら下げて待て状態の俺。
横目でチラッと見ては半ば呆れ気味に微笑む奈那。
「しないよ…?そんなふうに待たれても片付けたい課題あるから……」
「うっ……」
……絶句とはこのこと。
ですよね、俺……盛りすぎだ。
シュン…となる。
ごめん、と部屋に戻った。
またやっちゃった………
すぐ周りが見えなくなる。
奈那の気持ちを尊重出来なかったら彼氏失格だよな。
俺も……勉強しようか。
出来れば効率的に。
「ふっ………うっ………ふんっ………」
教科書を見開きにしながらラインを引いた箇所を頭に叩き込む。
「ふぅ………ふんっ………あっ………!」
ヤバい……そろそろ限界かも。
バタッと床に伏せてしまう。
いや、まだまだ…!!
何度か繰り返してたら勢いよく部屋のドアが開いた。
びっくりして振り向いたら奈那が入って来てて驚かせようとしたみたい。
「あれ?どうしたの?」と言うのも呼吸が乱れてる。
ハァハァ言ってる俺に逆に何してるの?って。
「奈那と同じように勉強してみたんだけど眺めてるだけじゃ飽きてきて……だから腕立て伏せしながら覚えようと思って」
でもやっぱりいきなりだから結構キツくて頭に入ってるかどうかはわからない。
腕もプルプルしてきたし。
床に広げてた教科書を拾い上げ
「何だ、1人でヤッてるのかと思った」って奈那…!?
あなた、何てことを…!!
「そう思って見に来たの…?」
「うん」
「……してたらどう思った?」
「目の前で見ててあげようと思って」
「えっ!?そんな……恥ずかしいじゃん」
「恥ずかしい姿って最高じゃん?」
出た………奈那のドS。
勉強のし過ぎで極限状態になるとたまにこうなるよね。
プッと吹き出して「なんて顔してんの」と笑われた。