触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
涼子さんに
「娘の奈那です、祐翔くんの2個上かな」って紹介された時から心奪われてた。
お互いキョトンとした顔だったけど必死に冷静さを装ってたのはこれからもバレないでほしい。
「宜しくね」の笑顔で骨抜きになったのは言うまでもないが。
ずっと俺の片想いだったんだよな。
同じ屋根の下で関係が壊れるのが怖かった。
俺に笑いかけてもらえなくなるのがこんなにも怖い。
それなら一生片想いで良いって思ってたけど………
「ヒロが好き……」と言われて何もかも飛んだ。
本能に従ったら止まらなくなった。
俺だけが知ってる奈那の顔。
うるさく騒いでる奴らは知らない……
ていうか知る由もない。
皆……知らないだろ?
あんな顔して甘えてきたり
あの瞳で誘ってくる。
あんな声で挑発されてみろ……
あんなふうに喘ぐし壊れちゃうんだ。
あんな大胆に求められたらもうイチコロだよ。
再び奈那に向かって純太が手を振ってる。
それにつられて遠い距離で目が合って。
ほんの少し微笑んでくれただけでその気になるなよ。
あれは俺に向かってなの!
俺らが付き合ってんの知ってるだろうが。
それに今日、一緒に帰るから。
……ていうのはまだ言わないでおこう。
絶対こいつ調子に乗るから。
ホームルームも終わり下校時間。
下駄箱で合流したら一緒に帰るってわかるよな。
あれ?奈那だけが居ない。
「あ、奈那ね、今図書室!返し忘れてた本の返却日過ぎてたらしいよ」
「え、今行ったんすか?」
「うん、今日一緒に帰るんでしょ?私らも息抜きしたいからお昼一緒にどう?」
すぐに飛びついてきた純太。
チカさんと帰れるとあって急に赤面する宏介。
「いいんすか!?」って大喜びだな。
「あ、俺も借りた本、教室に置きっぱなしだわ」
「は?お前いつ借りたんだよ」
「つーことで先輩たちと一緒に先行っててくれる?場所は後でメールして?すぐ合流すっから」
「え?ちょっと待て…!」
「じゃ、後でな!」
「え〜!弟くん行っちゃうの!?奈那には待ってるって言っちゃったよ〜?」