触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




再びネクタイを締めてもらいながら。
キスで邪魔しちゃう。
そのたびに手が止まってなかなか進まない。
「もう…」って怒るから押し倒したくなる。
深いキスで黙らせたくなる。




ピロン♪とメール受信。
純太からでサイ○リヤにしたって。
奈那にもチカさんから届いて急ごうってなった。
このまま家に帰って2回目したいのにな。




「あ〜お腹すいた…!」




鍵を返して一緒に下校途中。
顔を近付け耳もとで囁く。




「いっぱい運動したもんね?」




すぐ真っ赤になっちゃって。
「ちょ、ヒロ…!」って追いかけてくる。
わざと捕まってあげたらバカバカ…って叩いてくるけど痛くない。
むしろこれ見たさにからかうんだけどね。




「おそーい!」




皆と合流してやっとの昼食。




「いや、俺の借りてた本見当たらなくてかなり探したわ」




「そもそも借りてねぇだろ…!」




「借りてたんですぅ!!」




他愛もないことで笑顔が溢れ出す。
奈那もチカさんたちと笑顔で話してる。
さっきまであんな顔してたのに。
それ考えるとニヤけてしまうんだけど。
何か良いな、2人にしかわからない共有の秘密って感じで。




隣同士で座るからたまに手とか当たっちゃって。
互いに違うメンバーと話してるのに小指だけが絡んでたり。
皆で話す時はさすがに離れるけど足が触れていたり。




本当にあと少しなら、こんな小さな秘密も共有していきたいな。
わからないように触れていたい。
アイコンタクトはなくても幸せを噛みしめていたい。




それも独り占め、でしょ?




結局最後は同じ家に帰るんだけど。
玄関開ける前に小さなキス。
抱きしめて髪を撫でる。
それがルーティーン。




「ただいま」と中に入ればそこからは姉弟の関係。
小さな秘密からこんな大きな秘密まで2人で共有してる。
「奈那」から「姉貴」に変わる。
自分でもよく使い分けれてるなって思う。




何となく麻痺してきて、
この状況がますます2人を高揚させているのかもしれない。
そうだとしても、それもあと少しで終わる。




この家から居なくなった時。
奈那の匂いが消えた時。




俺はどうなるのかな……?







< 208 / 409 >

この作品をシェア

pagetop