触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
再びネクタイを締めてもらいながら。
キスで邪魔しちゃう。
そのたびに手が止まってなかなか進まない。
「もう…」って怒るから押し倒したくなる。
深いキスで黙らせたくなる。
ピロン♪とメール受信。
純太からでサイ○リヤにしたって。
奈那にもチカさんから届いて急ごうってなった。
このまま家に帰って2回目したいのにな。
「あ〜お腹すいた…!」
鍵を返して一緒に下校途中。
顔を近付け耳もとで囁く。
「いっぱい運動したもんね?」
すぐ真っ赤になっちゃって。
「ちょ、ヒロ…!」って追いかけてくる。
わざと捕まってあげたらバカバカ…って叩いてくるけど痛くない。
むしろこれ見たさにからかうんだけどね。
「おそーい!」
皆と合流してやっとの昼食。
「いや、俺の借りてた本見当たらなくてかなり探したわ」
「そもそも借りてねぇだろ…!」
「借りてたんですぅ!!」
他愛もないことで笑顔が溢れ出す。
奈那もチカさんたちと笑顔で話してる。
さっきまであんな顔してたのに。
それ考えるとニヤけてしまうんだけど。
何か良いな、2人にしかわからない共有の秘密って感じで。
隣同士で座るからたまに手とか当たっちゃって。
互いに違うメンバーと話してるのに小指だけが絡んでたり。
皆で話す時はさすがに離れるけど足が触れていたり。
本当にあと少しなら、こんな小さな秘密も共有していきたいな。
わからないように触れていたい。
アイコンタクトはなくても幸せを噛みしめていたい。
それも独り占め、でしょ?
結局最後は同じ家に帰るんだけど。
玄関開ける前に小さなキス。
抱きしめて髪を撫でる。
それがルーティーン。
「ただいま」と中に入ればそこからは姉弟の関係。
小さな秘密からこんな大きな秘密まで2人で共有してる。
「奈那」から「姉貴」に変わる。
自分でもよく使い分けれてるなって思う。
何となく麻痺してきて、
この状況がますます2人を高揚させているのかもしれない。
そうだとしても、それもあと少しで終わる。
この家から居なくなった時。
奈那の匂いが消えた時。
俺はどうなるのかな……?