触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「ただいま」
「あ、おかえり…!」
「え、そこで待ってたの!?いつから!?」
制服で帰って来た奈那を玄関で座って待ってた。
「あ〜、えっと……もうすぐ帰って来るかなぁ?と思って。で、どうだった?」
今日はまだ短縮授業で昼までだったんだけど奈那は受験日。
「うん、ちゃんと出来たよ…?手応えは…あったかな」
コートを脱いで手洗いうがいする後を追いながら話を聞く。
「そっか、良かった〜!何か俺までもドキドキしちゃったよ」
「ヒロが…?だから玄関で待ってたの!?終わったのメールしたじゃん」
「だってどうだったかは帰ってから話すって言うからどっちだったんだろう?ってずっとソワソワして…」
「タクシー来ちゃったから乗りながらメールしたら酔うし…帰ってからにしようと思って」
雪もちらつく2月。
交通機関も遅れが出ちゃいけないからと行き帰りはタクシーを予約していた。
だから迎えに行く必要はなかった。
でも待つってこんなに苦痛だったとは。
1分がとてつもなく長い。
「そっか…ごめん。それより、お疲れさま…奈那」
髪を撫でてあげる。
今日まで必死に頑張ってたこと誰より知ってるから。
最後の一週間は怒涛の追い上げだったよね。
涼子さんも夜中まで付き合って受験対策してた。
だから自ずと禁欲生活を虐げられたわけで……
いや、そんなこと言ってる場合じゃない。
うん、と素直に頷く奈那を抱き寄せた。
「よく頑張ったね、疲れたでしょ?あ、お腹すいてる?何か作ろうか?」
「ううん、ちょっとの間こうしてて…」
うわ、いじらしい事言う……
わかったと真摯に応えてギュッと抱きしめる。
「でもまだあと一週間、ドキドキして過ごさなきゃだね」
ムクッと顔を上げてきたからやたら距離が近くて少し顎を引く。
「え、今が一番ドキドキしてるけど」
「それは……俺の方です」
一週間耐え忍びましたから。
毎日のように触れてたのにおあずけ…キツかった。
またポスッと頭を預けてきて。
「でも疲れてるから…どうしよっかな〜?」