触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「本当は結構あそこで待ってたんでしょ?風邪ひくからやめなよ?」




あぁ、玄関でのことか。
ソワソワしちゃって落ち着かないんだもん。
早く顔が見たかったってのもあるし。




「ごめん……」




「ううん、嬉しかったけどもうしないで…風邪ひいたら元も子もないでしょ?」




「うん……」




「もう…!言いたいのはそんなことじゃなくて……」




「え…?」




久々に怒られてちょっとヘコむ。
確か前はあまりにも俺が節操ないからだったな。
また距離が出来ちゃう気がして身構えてしまう。
泣きそうになる。
本当、情けないんだけど。




「風邪ひいたら……出来なくなるでしょ」




恥ずかしそうに目を合わせてくれてすぐに理解した俺は手を握る。




「風邪ひいてもするもん」




受験終わったからいいじゃん。
我慢の限界わかってよ。
奈那もそう思ってくれてたなら嬉しい。
俺だけじゃなかった。




「ごめんね?一週間も…」




黙ったまま首を振った。
俯く俺の頬に触れてきたしなやかな手。




「ちょうどいい感じに生理も終わったし」




「え?そうだったの!?」




「うん、実はダブルでキツかった……」




「何かごめん、俺…自分だけが我慢してるって思ってて……奈那も辛かったね?大丈夫だった?生理痛」




前に薬飲んでるとこ度々見かけてたから。
毎月大変そうだなって思ってた。




「そっちじゃなくて、キツかったのは禁欲の方……」




「えっ!?奈那も!?」




「だってこの一週間、ヒロの視線感じないフリはキツかった……凄く欲しそうに見てくるから」




「え?え?ちゃんと隠してたよ…!ウソ……もろバレ!?」




コクリと頷かれ背筋が凍る。




「アレじゃバレるのも時間の問題……」




「ご、ごめん…!気をつける」




「ウソだよん」




「え…!?」




「意外なくらい普通に振る舞ってたから逆に苛ついた」




「え?え?どっちが正解…!?」






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