触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜
【触れたい情熱】




「いや、皆集まり過ぎだから…」




「だって発表、11時からでしょ?」




「うん……多分こうなるだろうと思ったから持ってきた」




リビングにノートパソコン持って降りてきた奈那。
親父も涼子さんも今日はオフの日。
揃って休み取ったんだろうけど、今日という今日は仕方ないよな。




「しかもキミたちまで……」




同じく集まった純太、宏介、桜井さん。
チカさん、マキさんも。
土曜日とあって学校も休みなのだが、今日は奈那の合格発表の日だ。




「だって私たちは受験ないもん」




だよね、うちエスカレーター式の一貫校だから。
外部受験するって聞いてびっくりしたみたいだけど夢に向かって頑張る奈那を誰もが応援してくれてる。




「お寿司とったし皆も食べて行ってね〜」




「わぁ、ありがとうございます!」




おぉ……太っ腹。
「落ちてたらどうすんのよ…」って意外とナイーブな奈那。
絶対合格するしって強気だった奈那はどこ行った!?
ほとんど正解書けてるって言ってたのに。




いざ、発表の時。




カチカチとマウスでクリックしながら進んでいく。
そんな奈那の後ろ側に全員張り付く。
わ、合格者番号がズラリと掲示されてる…!
今じゃネットで発表だから、あの紙で貼り出された瞬間のドキドキ感はないけどこれはこれで緊張するもんだ。




「ふぅ〜」と深呼吸。
いよいよだ。




「えっと、次のスクロールで私の番号です…」




皆がザワザワする中、いくよ?とスクロールした瞬間。




「あった…!受かった…!奈那、おめでとうー!!」




一番に声をあげたのは涼子さん。
抱きついて泣いてる。
皆も一斉に抱きついた。




一通り喜びを噛みしめた後。
インターホンが鳴って「お寿司屋さんだ」と両親が玄関へ。




「ん…」と拳を奈那に向ける。
言わなくても伝わるこの感じ。
本当は構わず抱きしめたいけど今はこれで我慢。
嬉しそうに拳をぶつけてくれる。




「おめでとう」




「ありがと、ヒロ」









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