触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「まぁ、そうだね?出逢った頃のモサモサしてたヒロならライバル居ないか?」
「それ、完全にディスってるよね!?」
「じゃあ、その頃のヒロ独り占めだ…」
そんなセリフさらっと言えちゃうとこ、ホント小悪魔。
でもそのお陰で今の俺たちが居るわけで……
臆病だったあの頃を変えてくれたのは紛れもなく奈那なんだ。
家に着いて鍵を開けて入る。
まだ2人だけの空間。
靴を脱ぐ前に後ろから抱きしめた。
「今は……俺が独り占めしていい?」
ヒロ…と名前を呼ぶから向かい合った。
「いつ何処で、どんなタイミングで出逢っても……私はヒロに恋してたよ?どんなヒロでも、きっと好きになってた」
奈那の想いがストレートに伝わり過ぎて胸が熱くなる。
堪らなくなって唇を重ねた。
支えながら角度を変えて何度も重ね合わせた。
そんなのズルい……
俺だって言いたい……
「俺もう……奈那じゃないとダメなんだ……あの時好きになって、ずっと想い続けて…そのまま終わりじゃ嫌だ、誰かのものになるなんて耐えられないから…泣きながらでも言うと思う……好きですって」
もしもの話なのに俺……何で泣いてるんだろう。
勇気出せなかったせいで奈那を失うくらいなら泣いてでも伝える手段を選ぶだろうって。
奈那が真っ直ぐ伝えてくれたから高ぶってしまった。
細い指が頬を拭ってくれる。
奈那からのキス。
優しい微笑み。
「安心して?私がヒロを選ぶし逃さないから…」
「うん……それは俺も」
軽い足取りで登る階段。
同じ部屋に入る2人。
全身鏡の前でリボンを外す奈那はこっちを見て“?”な顔。
「ヒロは着替えないの…?あ、生着替え見るつもりだな!?どうせ襲ってくるんだからダメー!」
恥ずかしがって部屋から出そうとする。
ギュッと抱きしめたら
「待って……シャワー浴びたいんだけど」って上目遣い。