触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
2日目の食べ歩き観光もナンパされないように男子は必死だった。
お、恐るべし大阪……!!
ノリが軽い上にやたらしつこい。
奈那たちも3人一緒に居ると思えば急に単独行動になってたりして、それぞれ追いかける。
結果、別行動になってたり。
「あ、アレ食べた〜い!」
「え?皆で食べなくていいの!?」
「うん、ちょっと別行動しよって」
「そ、そうなんだ…」
「チカも宏介くんといい感じだし」
うん、もう腕掴んだりとか結構スキンシップしてたよね。
俺も気付いてないことはなかったけど。
純太もマキさんとちゃんと足並み揃えてゆっくり進んでる感じ。
アレ食べたいって本場のたこ焼き。
大阪に来たら……ね?
熱いからハフハフしながら食べてるのめっちゃ可愛いから激写。
ヒロも食べてみ、とあーんしてくれたけど大事故だよ。
「熱っ!ハフ……ハフ…」
悶絶する俺をケタケタ笑ってる。
一口はヤバかった。
うぅ……舌火傷した。
それ激写してる奈那ってどうよ。
「もう……ソースついてるってば」
「え?どれ?ここ?あ、鑑持ってる?」
そっと手が伸びて親指で拭ってくれるからさすがにドキッとした。
急に顔も近くなるんだもん。
チラチラ見られてるのもわかってるし。
きっと奈那が可愛いからどこでも噂されるんだよな。
その親指舐めるし、俺がタコ状態だよ。
頬杖ついてこっち見てる視線。
優しい眼差しで直視出来ない。
「食べないの?」
「ヒロ食べて」
ハフハフしながらまた食べてたら通りすがりの観光客が奈那を見てまた「可愛い」とか言う声が聞こえてくる。
またか……もう開き直るぞ。
そうだよ、俺の彼女はめちゃくちゃ可愛いんだ。
最後の一口頬張ったら隣でまたクスクス笑ってる。
知ってるよ、ソースついてるんでしょ?
食べ終わったらちゃんと拭くから。
紙ナプキンを取ろうとする手を止められて目が合った。
「ヒロ、可愛過ぎ」とジャンパーの下に着ていたトレーナーの首元を引っ張る人差し指。
そのまま引き寄せられて顔が近付いてきた。
ペロリと舐める口元。
一瞬過ぎて固まる俺。
フフン…と悪戯な笑み浮かべてる。
モグモグしながら2回頷いてありがとうするしかない。