触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「だって囲まれてる時のヒロ…アハハ!」
あんな立て続けに言葉浴びてみろ…!
答える隙も無い。
でもちょっと言葉には気をつけようと思った。
「で、何なの?つわりって」
「妊娠初期にある症状だよ、ひどい人は産まれるまである人も居るし入院するケースもね。わかりやすく言えばずーっと車酔いしてる感じ…?」
「車酔い!?うわ……気持ち悪いやつだね」
「うん、常に頭クラクラ〜だしずっと吐き気との戦いだよ」
「涼子さん……大丈夫かな!?大変じゃん!」
「そうなの、だからヒロも色々と出来るようになってれば助かるな…と思って」
「了解…!」
サラッと腕を組んでくるから焦る。
もう、警戒してるかどっち!?
もうすぐ家だけど。
「でもさ、あの人たち絶対私たち見て授かり婚したカップルって思ってたよね?」
「ん……うん」
授かり婚か……デヘヘ。
ハッ!ダメダメダメ…!!
ちゃんと結婚してからだよ、そういうのは。
そっかそっか〜と照れ笑いの奈那に対して勝手に宣言。
「俺は順番守るから」
「えっ?」
「ちゃんと親父たちに認めてもらってから一緒になって、妊娠だから」
「ちょっ、バカ…!急に何言ってんの!?」
焦り過ぎて鍵が上手く開けれない奈那。
相当、動揺してる!?
アハ、可愛い。
勢い余ってプロポーズ的なこと言っちゃったけど別に嘘はひとつもないし。
そっと手を添えて一緒に鍵を開ける。
荷物をテーブルに置いて2階の部屋に上がる。
何となく……気まずい。
俺、しくじった!?
やっぱ早過ぎたかな。
コートを脱いで下に降りるともうエプロン着けてキッチンに立っていた。
ヤバ……眼福。
俺もエプロン着けようとしたら何も言わずに後ろの紐を結んでくれてキュンとする。
こんなやり取りもちょっと新婚みたい。
「さっきのってやっぱプロポーズ…?」
後ろからそう聞かれて迷うことなく「うん」と答える。
「いいの?私で…」
「奈那以外なんて考えてないよ」
キュッとリボン結びしてくれた手が前に回る。
後ろから抱きしめられて小さなその手に手を重ねた。