触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「エヘヘ……嬉しい」




「ごめんね、指輪とか用意出来ないまま言っちゃって」




「そんなの気にしてないよ」




「でも俺の気持ちは知ってて欲しかったから」




「ちゃんと認めてもらおうね…?」




「うん…」




「はい、じゃあまずは花嫁修業だね」




「え、俺が花嫁!?違うでしょ」




「え、主夫もアリなんじゃない?」




ひょっこり可愛い顔出して言われてもダメ。
振り向いてチュッ…!




「俺が奈那を守るの、養うから覚えといてよね?」




頬をツンツンしたら照れてる。
敵わないな、奈那には。




支度するからって髪をひとつに括ってる。
揺れるピアスが余計目立ってつい見てしまう。
何気に耳の形さえも好きなんだよね。




「よし、じゃあまずはキャベツね?半分は千切りにして残りはミネストローネに入れるよ」




わ、お料理教室始まった!
上目遣いでずっと説明してくれるけど
「はい、やってみて」って交代したら全然ダメで……見惚れてただけでした。




「ちょ、怖い怖いっ!そんな持ち方じゃサクッと指切っちゃうよ!?」
「違う、猫の手!」
「こっちから切らないと繊維ダメにしちゃうから」




うぅ……奈那先生は少々厳しいです。
俺、中2の調理実習以来かも。




「次は玉ねぎ、半分やるから見てて」




「はい」




一気にみじん切りにしてソテーしておくんだって。
後は味噌汁用とか野菜炒め用とか小分けにして保存していく。
テキパキしすぎてついていけない……




しかも玉ねぎ……目に染みる。
「わかった?」って言う奈那も涙目。
泣きそうな目で見られたらドキッとしてつい抱きしめたくなる。




「みじん切りヤバいね?」




頬に伝う一粒の涙。
ティッシュで拭いてあげる。
目を閉じるからキスしたくなるけど、
したら怒るんだろうな。




ミネストローネも粗熱が取れたらタッパーに移して冷凍だって。
スプーンで味見してるから隣に立ったら気付いてくれて俺にも味見させてくれた。
抜群の味加減…!美味…!




フゥフゥしながら口に運んだら、唇についたのを奈那がキスで味わう。
そっちこそ誘ってくんじゃん。
ジーッと見つめられたら動けない。
しかもエプロン姿だし。
何か……全部ヤバい。








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