触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
熱いお茶が前に置かれ緊張感が増す。
「急にこんなことになってびっくりしたよね、奈那にもすごく心配かけて…つわりが落ち着くまではセーブしてるし臨月までは働かないことにした」
「それが良いよママ…」
「うん…何せ18年ぶりの出産だから体力的にも精神的にも正直不安はあるけどね」
「私たちが出来る限り支えるよ、今日もヒロにストック出来る野菜とか教えたからマジで無理な時は助けてもらって?私も週末は帰ってくるし」
「ありがとう…」
涼子さんの目に光る涙。
そっとティッシュを差し出すと更に泣かれてしまった。
「あの、俺…頼りないですけどご飯とか用意するんで家では落ち着いてゆっくりしてください」
今まで甘えて頼りきってた分、挽回させてもらいます。
「だから……ごめんね?あんなに楽しみにしてたグアム旅行、行けなくなってごめんなさい…!」
頭を下げる涼子さんにガタッと同時に立ち上がる俺たちは同じことを口走っていた。
「そんなの気にしてないよママ…!当たり前のことじゃん!」
「そんなの気にしないでください…!いつだって行けるんだから!」
「うぅ…!ありがとう〜!」
妊娠中は何かと情緒不安定になることもあるんだって奈那が先に教えてくれてたから驚くこともなかった。
背中をさすりながら励ましている。
少しして落ち着いたのか。
「奈那、もう一度座って」とまだ話があるんだってすぐに理解した。
「じゃ、本題に入るわね」
この一言で背筋がピンとなる。
きっと今から話すことが親父抜きで話したいことだよな。
まさか、気付かれてる…!?
ついに…なのか!?
「改めて言うわね?2人は私にとって大切な子どもよ…祐翔くんとは血縁関係にないけど奈那と同じように大切に思ってる。それだけは忘れないでほしい…」
それはわかってる。
寂しかった心を埋めてくれたし、涼子さんが家に来てからは本当にたくさん救われたんだ。
いつも花のような優しい笑顔を向けてくれていたから。
感謝してもしきれねぇよ。
「その気持ちを大前提に置いて2人に聞きたいことがあるんだけど…」