触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
交互に俺たちの目を見ながら落ち着いている様子だ。
俺は飛び跳ねる心臓を上手く誤魔化せているだろうか。
隣に居る奈那はどんな顔しているのかわからないけど真っ直ぐ前を向いていた。
「私の思い過ごしならごめんね?でも奈那がこの家を出て行く前にやっぱり確認したくなって……もしかしたらなんだけど2人はもう深い仲だったりする?」
とうとうバレてしまった。
何をどう見て判断したのか…?
どこで…?いつ気付かれた…?
実は見られていたのかも。
「え、それってどういう意味?私がヒロと姉弟以上の関係であるのかってこと?」
「そうね…」
ストレートに聞かれたからストレートに答えるのか!?
いつまでも隠し通せるとは思ってないって言ってたの、現実になっちゃった。
「私がヒロと…キスとか、セックスしたかって聞いてる?」
顔色ひとつ変えずに奈那は涼子さんと向き合ってる。
俺なんかもし親父にそう言われてもテンパってどうしていいかわかんなくなると思う。
それなのに奈那は……何か強い。
女同士の親子ってこうなの…!?
「うん、ぶっちゃけちゃえばそう聞いてる…本当のところどうなの?」
涼子さんも負けじとストレート発言…!
凄まじい空気。
「したよ……私が好きになって私から誘った」
え、ちょっと待って!
その言い方じゃ奈那が一方的みたいじゃん。
「違っ…!違わないけど俺がずっと片思いしてて…」
必死に涼子さんに訴えかけようとしたけど奈那が手を握り阻止してきた。
「ごめーん、もう言っちゃうわ」と微笑む奈那は手を離し再び真っ直ぐ涼子さんを見た。
「始まりがどうだったかなんてどうだっていい、今聞きたいのはヒロと付き合ってるのかどうかってことでしょ?そう聞いてきたんなら答えはイエス、付き合ってるしキスもセックスもしてる」
わぉ、ハッキリ言っちゃうんだ……
ヤベ……涼子さんの顔見れないかも。
「そう……何となくそんな気がしてた。確信持てなかったから言えずに居たけど、やっぱり思いきって確認して良かった」