触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「それ確認して今、何を思ってるの…?マズイことになっちゃったなって?世間体とかモラルに反してるとか?ごめん……ママや聡志パパが言いたいことはわかってるつもり。私だって何度も封印しようって葛藤してたし…」
途中から声上擦ってる。
必死に堪えながら話してるのが見なくてもわかった。
俺もちゃんと言わなきゃだけど、これは奈那と涼子さんのぶつかり合いだと感じて入る隙を見失う。
「この家を離れることで何か変わるかも知れないって思ってた…忘れよう、ちゃんとした恋愛しようって…ママを悲しませることはやめようって思ってたんだけど……ごめんなさい無理だった」
初めて涼子さんの前で泣く奈那を見た。
その姿をただ黙って見つめてる涼子さん。
全部吐かせようとしてるのかな。
「いいよ、奈那の本当の気持ち、全部聞かせて?」
頬に伝う涙を袖で拭いながら息を吐いた。
「私はヒロが好き……姉としてじゃなく、弟としても見れなくて……今も、どうしようもないくらい好きでたまんないの……失いたくない…ごめん」
ポタポタとスカートの上に落ちていく。
次は涼子さんが奈那にティッシュを差し出した。
「そっか……奈那の気持ちはわかった」
奈那に向いていた目が俺に移る。
「俺も、同じ気持ちです……黙っててすみませんでした。まだ学生だし何の説得力もないから言えずに居ました……でも、日に日に気持ちは大きくなって隠しきれなくて……一線を越えてしまいました、ごめんなさい」
嗚呼、俺何言ってんだろう。
言うことがガキ過ぎて格好悪い。
何も示せない。
全部口先だけだと思われてしまう。
「なーに、2人とも。さっきから謝ってばっかじゃん」
チーンと鼻をかみながら
「だって戸籍上、私たち姉弟じゃん」と奈那が言う。
「それがどうしたの?別に悪いことしてるわけじゃないでしょ」
あ……これ、前に奈那も同じようなこと言ってた。
でもちゃっかり謝ってたってことは少なからずそう思ってたんじゃないの!?
「それにさっき奈那が言った世間体とかモラルの話だけど、そんなこと私が気にしてるとでも思ってたの?そっちの方が心外だわ」
腕を組んでご立腹の様子。
そんな涼子さんに「だよね!」って軽く返す奈那にびっくりした。
見るともう泣いてなんかないし…!
え、どうなってるの!?