触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「ママ、私たちにカマかけたでしょ?」
「あら、奈那こそ今カマかけたじゃ〜ん」
「え?え?え?」
この状況を全く理解出来てない俺はキョロキョロするしかなかった。
クスクス笑う2人。
「ヒロ、もうとっくにママ気付いてたみたい」
「えぇっっっ!?」
今日一番の声が出てお腹に響くと思いすぐに謝った。
ど、どういうこと!?
また俺だけ恥ずかしいやつ!?
「カマかけたっていうのはね、半分そうなってたらいいなって思ってたの」
うわ〜ちょっと待って……
涼子さんの懐が深すぎて俺も泣きそうだ。
「祐翔くんの態度で気付いたっていうのもあるのよ?奈那を見る目がちょっとね…」
そう言われて隣から肘てつが飛んでくる。
「ちょっとヒロ…!全然演技出来てないじゃん」
「ご、ごめんなさい…」
真っ青になる俺を見てまた2人が笑う。
めちゃくちゃ隠してたつもりなのにだだ漏れだったんだよな……反省。
でも仕方ないじゃん……
こんな可愛くて綺麗な子を産んだ涼子さんのせいです。
「奈那もよ?最近、行動が大胆になってる」
チラッと奈那を見たらふくれっ面。
それも可愛いと思ってしまう俺は重症です。
「ここからは親としての意見だから心して聞きなさい」
表情がスッと変わって膝の上の拳に力が入る。
「奈那は私に似ていて直感型だから、聡志さんって決めた私のように祐翔くんに想いを寄せるのは全然不自然なことじゃない。だから反対する気はさらさら無いわ、むしろ応援してる」
まさかの言葉に胸が熱くなる。
一瞬でまた、奈那も涙ぐんでるのが見えた。
「2人の気持ちは充分わかった。でも祐翔くんの言う通りお互いまだ学生の身だし社会も経験してない。今この狭い世界でしかお互いを見れてないのよ?無理に視野を広げなさいとは言わないけど色んな視点からお互いを見てほしいと思う」
「え、無理……ヒロしか無理」
「お、俺も奈那以外無理です…!」
「キャ〜!奈那だって。やっぱそう呼び合ってるのね」
あ、勢い余って呼んじゃった。
いや、照れてる場合じゃなくて。
「でも社会勉強は必須!奈那も何があってもこの大学に進むんだから必ず看護師になりなさい。祐翔くんも奈那を想ってくれるならちゃんと自立しなさいね?その時が来てまだ2人の気持ちがブレてないんならまた話聞かせて?」
「わかった」
「はい…!」