触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




もうすぐ毎日会えなくなる。
入学式を迎えたらすぐに寮生活だ。
ギュッと抱きしめたら抱きしめ返してくれる。




「ヒロ大丈夫?1週間禁欲生活だよ?」




「うっ…!だ、大丈夫…」




「私以外で出したら承知しないからね?」




「ひ、1人でも…?」




「うん、ダメ」




めっちゃ悪い笑顔。
自然と重なる唇。




わかってるってば。
俺だって奈那以外ダメなの知ってるでしょ。
奈那以外で出すわけない。




「奈那こそ俺の話聞いてたの?俺、めっちゃ奈那に惚れてるんだけど?」




あ、ヤベ……あの瞳にさせちゃった。
首までロックオンだから逃げ道はない。
もう鼻の頭がくっつく距離。




「ちゃんと伝わってるよ…」




「うん…」




背中に手を回す。
もう重なりそう……
真っ直ぐ俺を見る視線が胸を掴んで離さない。
耳の側まで鼓動が聞こえる。




まだ触れてくれないから巻き髪を耳にかけてあげる。




何でこんなに色っぽいんだよ……




再び顔を近付けたら……




「え、何…?」




奈那の意地悪……




「してくれないの…?」




笑わないでキスしてよ……




「え、どうしよっかな〜?」




出た、奈那の必殺ドS焦らし…!!
そう言いながら腕の中にすっぽり入って来るくせに。
細いラインを引き寄せてもう重なる間際……




「どうしてほしいの?甘えん坊ヒロくんは…」




人差し指でストップされたら心臓が飛び跳ねる。
甘い声で翻弄する奈那をもう少し見てたい気もするけど……こんな寸止めは反則です。




「奈那と……キスしたい」




「ねぇ、ママにバレたんだよ?この部屋に居ること知ってるよ?それでもするの?」




ガクッと項垂れ奈那の肩に頭を乗せた。
あんまりだよ〜!
奈那がめっちゃ意地悪になってるー!!
じゃあ何でこんな身体引っ付けてくるの!?




「エヘヘ、可愛い」




可愛くないよ、こんなの。
ただの盛りのついたオスなだけ。
弄ばれても奈那としたいって思うだけ。




「ヒロ…」って甘く呼ばないで。
もう煽らないでよ。




「拗ねちゃった…?」







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