触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




皆、大好きなんだよ。
このフワッとした優しい笑顔が。
そこに居るだけで温かくて明るい。
本当、何もしなくていいからここに居てって本気で思う。
存在そのものが癒やしだから。




「じゃああの店のケーキ買って行こうよ」




そうやって大好きな笑顔でこっちを見るから思わずキスしてしまうじゃんか。
紅く固まる奈那も可愛い。




「ヒロ……まだ大学の前だよ」




「あ……ごめん、つい」




うわ、めっちゃ見られてたよね!?
奈那しか目に入ってなかった。
はしゃぎ過ぎた。
俯くから怒ったのかと焦る。




「恥ずかしい〜」




手をパタパタして顔を扇いでる姿にまたキュンとさせられた。




「つい…って何よ〜!不意打ち過ぎる〜」




アレ、やっぱ怒っちゃった!?
耳まで真っ赤になってジタバタしてる。
最初に会った時そっちからキスしてきたくせに…!?




「ね?不意打ちされたらそうなるでしょ?俺の気持ちわかった!?」




「不意打ちは私だけの特権なのに…」




わ、何だよそれ……めちゃくちゃ可愛い言い方。
こっちも赤くなる。
不意打ち返しはもっとヤバい。




「ヒロにしていいのも私だけ…だからね?」




「はい……もう充分です、ありがとうございます」




ひとつ攻めたらふたつみっつ返ってくるの忘れてた。
そうです……奈那はそんな子なんです。
こんな可愛い顔して基本、ドSなので。




「もっと困らせようか…?」なんてしれっと言ってくるんだもんなぁ。
恐れ入りました。
手を引いて「ほら、行くよ」と少しだけリードしたら嬉しそう。
そういう使い分け上手いからまんまと転がされてる。




可愛いから振り返って見てる人とか居るのが心配の種だけどね。
ちゃんと手を強く握って俺の女だって必死に知らしめてる俺の気苦労気付いてもらえてる…?




「あ、末永さんバイバイ」




通り過ぎざまにまた男に声かけられてる。
ニッコリ笑ってバイバイしなくていいから。




「知ってる人?」





「ううん、知らないけど同じ大学なのは確かじゃない?」




って適当…!!
いや、適当でいいけども…!!
ぷにっと頬を抓って怒ってますアピール。




「他の男にあんな笑顔見せちゃダメ…知らない男なら尚更」






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