触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




俺だって涼子さんに感謝だよ。
奈那を生んでくれてありがとうございます。
心が折れそうな時に奈那と出逢わせてくれて……こんなに人を愛せるなんて思ってなかった。
救ってくれてありがとうございます。




涙なのか鼻水なのかよくわかんない。
ティッシュで拭いてくれる奈那に
「キスして」と懇願してしまう。
触れていたい……愛されたい………
今は…無性に。




笑いながら涙を拭く。
「え、今……?」って目を細める。




キスしたい………
母親に愛されてたんだって思ったら嬉しい反面、それを上回るくらい目の前に居る奈那に愛して欲しくなった。




「ヒロが思いきり泣けるように今から胸貸す気満々だったんだけど…?」




そう言いながら頬に手が触れて……
欲しがる俺に目で合図してくれる。
仕方ないなぁ…と言わせちゃう。




俺には奈那だけなの………
奈那に愛されてるなら、それだけでいい。




優しく触れてきたキス。
溢れる涙を指で拭われながら侵入してくる。
ひとつひとつ確認するように嗜んで……
まだいい…?と瞳がそう問いかけてる。
暗黙の了解で再び絡み合う。




腫れ物を扱うよう丁寧に侵され……
吸われて……喉が鳴る。
下唇を甘噛みしたままパッと離れた。




「これからは私がヒロのお母さんに負けないくらいヒロのこと愛してあげるね…?うん、負けない」




そんなセリフ、そんな愛しい笑顔で言われたら我慢出来なくなる…!!




本能剥き出しで俺から唇を奪った。
逃げないよう強く抱きしめる。
欲しくて欲しくて堪らない。
ねぇ、溢れて止まらないよ……
どうしたらいい……?




「ちょっ…!ヒロ……ごめん、私が煽っちゃったよね?でも、まだ2人起きてるし……今はヤバいよ」




半分押し倒してる状態でハッと我に返る。




でも………止めたくない。




姿ははっきり見えるけど部屋の灯りは消えたまま。
下の階からはテレビの音が聞こえてる。
2人とも突然部屋に上がったから変に思われてるかもな。




「行かなきゃ……」




視線合わせたままそう言うけど、何となくわかる……本心じゃないこと。




ほら………俺の唇見てる。




「うん……行かなきゃ」







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