触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
気付けばもう駅に着いていて改札前。
繋いだ手が離れる前に目を合わせた。
「奈那、俺も気持ちの上では覚悟出来てるよ…?でもまだ俺は高校生だし自立も出来てないし…親に面倒みてもらってるうちはまだまだ子供というか……」
「わかってるよ、そんなの私もそうだし?でも万が一バレた時はちゃんと自分たちの意見言おう?認めてほしいっていうか、認めさせちゃお?」
「お、おう……」
「そんな難しく考えないで…?とにかく今は目の前の勉学に励むべし!ね!?」
「うん……」
まだ離れない手をギュッと握った。
また少し離れちゃう……ずっと触れてたいのに。
見つめ合ったまま引き寄せるのは仕方ないよね…?
前髪にキスを落とすのも今は必然なんだ。
「ヒロ…?」
びっくりさせちゃってごめん。
人前でこんなこと……
でもほんの一瞬だけだから許して…?
「奈那……また改めてちゃんと言うけど、もう今言ってもいい?」
「ん……なに?」
腕の中で見上げてくる顔。
触れたい衝動を抑えながら言葉を振り絞る。
「奈那、俺と結婚して」
言い終えて肩を強く抱いた。
抱き寄せた髪にキスを落として溢れる想いをぶちまけた。
クスクス笑うから恥ずかしさが増す。
「今言う!?」ってやっぱ俺タイミング悪いよね。
でもちゃんと伝えたかった。
フライング過ぎたけど。
指輪もねぇのによく言えたもんだ。
気持ち高ぶったら何しでかすかわかったもんじゃない。
チラホラ視線も感じて完全に目立ってる。
気が付いた頃にはもう手遅れで今度は奈那がスイッチ入っちゃってるんだ。
首を左右に傾けながら
「結婚……したいの?」って上目遣いはダメ、絶対ダメ…!!
いつもこの小悪魔な部分に打ちひしがれてるだろ俺…!!
いい加減学習しろよ…!!
コクリと頷く素直な俺に再び指を絡ませお仕置きが始まる。
「してください……でしょ?」
「結婚……してください」
うわ……めっちゃ嬉しそうな笑顔。
「2回も聞けちゃった……最高」
その顔……俺だけに見せて。
誰にも見せないで。
俺だけの奈那で居て。
自然と顔を近付ける。
欲しい……と思ったらもう周り見えなかった。
上手く交わされて
「人いっぱい居るよ〜」っておあずけ。
ハッと我に返り反省。
俺は猿か…!
シュン…とする俺にまた笑ってる。
でも小さな声で「続きは今夜ね」って言ってくれるんだぁ。
今日から帰って来てくれる。
「駅まで迎えに行くね」
この優しい笑顔向けられるとどんどん貪欲になる。
小さく手を振る仕草にキュンとして胸が熱くなった。
毎回キャパオーバーする俺……どうしたらいいの?
教えてよ……………