触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜





「ただいま〜」とネクタイを緩めながら帰って来た親父。
おかえり、といつも通り迎えたら座ってたソファーまで来てくれた。




ドカッと前に座り
「話って?」と振ってくる。
ネクタイを外し第一ボタンも外して時計もテーブルの上に置いた親父。




「え、ご飯は?」




「先に聞かせろよ」




マジか……飯食ってからだと思ってた。
急に緊張感が増してくる。




「あのさ、まだ高校生の分際で何言ってんだって思われても仕方のないことなんだけど、ちゃんと最後まで聞いて欲しいんだ」




「あぁ、聞くよ。言ってみろ」




「俺、大学は理系工学部選択で将来的にはエンジニアになろうかと思ってる」




そう、親父と同じ道だ。
親父はSEでネットショップのWEBサイトの作成なんかをしてる。
ずっと背中を見てきて忙しそうなのはわかってるけど、やり甲斐を感じてる横顔もたくさん見てきたわけで。




「俺と同じような道進むってか?言っとくけどめちゃくちゃ厳しい業界だぞ」




「こんなの面と向かって言うの恥ずかしいんだけど……俺、親父みたいになりたい」




「は?俺!?毎日くたびれてる姿しか見せてねぇぞ!?」




「どんなにしんどくても、どんなに辛くても、大事な人の為に頑張ってんじゃん……そういうのすげぇ格好良いと思う」




「そりゃ家族だからな?飯は食わせていけねぇと格好つかないだろ?」




「俺いつか聞いたんだよ、そんなに仕事ばっかで楽しいか?って……めちゃくちゃ嫌味で言ったのにめちゃくちゃ笑顔で言い返してきた……最高に楽しいぞって」




「そんなこと言ったっけな」




「言ったんだよ、あの時は意味がわからなかったけど今はそんなこと言える親父のことちょっと尊敬してるよ」




「お前変なもんでも食ったか?どうしたんだよ、恥ずかしいじゃねぇか」




「いや、俺の将来設計を話した上で…ちゃんと伝えたいことがあるんだ」




こんなに長く話したのはいつぶりだ!?
いつもと少し違う雰囲気に気付いてくれてる。
ヤバい……口から心臓が出てきそう。
握る拳も若干震えてる。




「そこからが本題か?」




「うん……」




少し離れた食卓に座る奈那が隣に来てくれた。
それを見た親父はまた真っ直ぐ俺を見据えてくれる。




ちゃんと言わなきゃ……
逃げるな……
絶対今言うべきなんだ……
自分の言葉で親父に伝えたい……







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