触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「ずっと黙っててごめん。俺……俺は奈那が好きです……中途半端な気持ちじゃないし、本気で守りたい…ずっと一緒に居たいって思ってます」
一瞬で親父の顔色が変わった。
目を逸らしてしまいそうになる。
ダメだ、隣に居る奈那を……この手を離さないって決めたんだ。
「勿論、好きな気持ちだけじゃダメなこともわかってる。まだ大学にも行けてない、就職もしてない……何の説得力もないのは重々承知だよ?でもちゃんと、真剣に付き合ってることは伝えたくて……」
「いつから?」
「高校1年の冬…から」
声色も少し低くなった気がする。
とうとう言ってしまった。
ジッとこっちを見たまま、親父が一体何を考えているのか1ミリもわからない。
怒ってるのは確か。
「で…?ずっと一緒に居たい?真剣に付き合ってる?エンジニアになる?お前、ふざけ過ぎてない?物事軽く考え過ぎなんだよ、世間を勉強してから出直して来い」
「そのつもりだよ…!ちゃんと実現したらまた改めて言うから…!ただ今日は、俺たちの仲を知ってもらいたかっただけ」
「ったく……隠し通せばいいものを」
「えっ…!?」
頭抱えて溜め息ついてる。
「お前、意外とバカ正直なんだな?そのうち痛い目にあうぞ?」
「えっ…!?」
「どうせ涼子にでも急かされたんだろ?あ、奈那ちゃんにか?」
2人とも違うとこ見て知らん顔してる。
「えっ!?」
どういうこと!?
また俺だけがわかってないやつ!?
「とっくに気付いてんだよ、バーカ!」
「えぇぇっ!!!」
「何年父親やってると思ってんだよ、全部お見通しだ」
「い、いつから…!?いや、言わなくていい…!」
マジか……マジか……!!
これは恥ずかし過ぎる……!!
消えたい……この場から消えたい………
「公園でイチャつきやがって…」
「うわー!言わないで…!」
隣の奈那も赤面してる。
ヤラれた…って呟いた。
涼子さんもこれでもかってくらいニヤニヤしるし…!
「でもまぁ、結局お前は甘えたちゃんなんだよな?よし、一発ガツンとやってやるよ」
「えっ!?」
立ち上がる親父。
俺の前に立つ。