触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「歯食いしばれ」
「え、ちょっと聡志パパっ!?」
「奈那ちゃん、これは俺と祐翔の問題だ」
胸ぐらを掴まれ息を呑む。
でも逃げないことが誠意だとも思った。
俺が甘えたちゃん…!?
「正直に打ち明けたことは褒めてやるよ、でも誰かに急かされて言うようじゃまだまだ覚悟が足りてない証拠だ。そんなんじゃいざという時に守りきれねぇぞ?」
意を決して自分も立ち上がる。
「反対されてもいい…!けど俺にはこの先ずっと…!奈那だけなんだ…奈那以外は居ないから…!」
力いっぱい叫んだら目頭が熱くなる。
「お前に何が出来るんだ!」
「死ぬ気で守るよ!」
「俺の後を追うんじゃねぇ!追い抜く覚悟あるのか!?」
「……あるよ、絶対負けねぇ!」
殴るなら殴れ…!!
親父の拳が視界に入る。
殴られる…!!
「よし、よくぞ言った…!!」
「へ…!?」
急に抱き締められ力が抜ける。
豪快に笑う親父についていけない。
「どうだった?俺の迫真の演技」とか涼子さんに確認してるし。
ヘナヘナとソファーに腰を下ろした俺に、しゃがんで目線を合わせてきた。
「祐翔、今言ったことに嘘はないよな?ちゃんと死ぬ気で守れんだな?」
「全部本気だよ」
「じゃあ俺と涼子がその証人だ。別にSEになろうが何を目指そうが後押しはするけどな、ゆっくり考えて決めろ?で、奈那ちゃんを泣かせない男になれ」
これは……認めてもらえたってこと!?
「わかった、ありがとう」
これでやっと家族全員知れ渡ったわけで……
「ん〜2人ともありがとうー!」って俺に抱きついてきた奈那。
慌てる俺に「あらあら…」と微笑む涼子さん。
認めてもらえた途端、本当大胆なんだから。
笑いながら食卓へ向かう親父の背中にまだ言い足りないで居た。
まだ、誓えてない。
「親父、涼子さん。まだまだ未熟な俺だけど、人生かけて…神に誓って絶対に幸せにします。だから認めてくれてありがとう、心強いです」
頭を下げたら涼子さんが続けて言う。
「ちょっとばかし気の強い子だけど、私からも宜しくお願いします」と涼子さんも頭を下げてくれた。
「気の強い…だって〜」
じゃれて奈那の頬を抓ると恥ずかしそうにはにかんでる。