触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「ねぇ、聡志パパ…ずっと気付いてないみたいだったけど、私……すっごくヒロのこと好きなんだよ?絶対手放さないし絶対一緒になるからね!?」
それ、抱きついたまま言う…!?
声を上げて笑った親父は
「奈那ちゃんなら安心して任せられるよ、ていうかケツ叩いてやってね?頼りないとこあるからさ」
「はーい、厳しく育てます」
俺たちも食卓に座りチラッと目が合った。
「よ、宜しくお願いします」と言ったらとびきり良い笑顔が返ってくる。
大好きな笑顔だ。
「ていうかそうなればいいなって言ってたんだよね〜!」
親父がデレデレと涼子さんに言ってる。
「ね〜!」って涼子さん………
完全にハメられてたわけね。
「血は争えないってことだな」
バッチリ親父と目が合って動揺してしまう。
心の底では俺も同じこと思ってた。
親父が涼子さんに惚れる理由もわかってたから、俺が奈那に惚れるのも必然だったわけで。
交際宣言………したからこれからはなんか、何するのも変な気分。
多少やりにくいこともあるんだろうけど、隣の嬉しそうな横顔を見るたびにそんなの全部吹き飛んじゃう。
奈那が幸せそうにしてるだけで、
こんなに嬉しいことはない。
一緒に笑顔になる。
いつもより見つめ合ってしまう。
目の前の両親がニヤニヤしていてハッとするんだ。
寝る前、パジャマ姿の親父が言いにくそうに突っ立ってる。
「その、お前ら……真剣なのは充分わかったけど、早まるなよ…?な…!?」
2人してクスッと笑う。
言おうとしてることが手に取るようにわかるから。
親父もちゃんと心配してくれてんだよな。
それには責任持って応えなければならないとも思ってるよ。
「はーい、ちゃんと健全な関係でいまーす」と敬礼ポーズで答える奈那。
おい、それフザけてるだろ。
俺からは何も言えず、ただ頷くだけで精一杯だった。
夜はしっかり寝て、朝早くに瑛莉ちゃんの世話を交代する日々。
夜中に3時間おき?早ければ2時間おきに授乳で起きる涼子さんは常に寝不足だからね。
「じゃあ、おやすみ〜」と各々の部屋に入る。
スキンシップはしてる方だけど、2人の関係を打ち明けてからまだ一度も……
ていうか、やりにくいよね。
欠伸してる奈那も疲れてるだろうし。