触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「ほぼ耳コピだけど半分開き直りでゲームのBGMをちょっとアレンジして弾いたら…思いのほかバズっちゃって」




俺たちがよくハマって遊んでいたゲームばかり弾いたら世代的にもドンピシャだよね。
盛り上がっちゃったんだ?
照れてるの可愛い。




「で、涼子は何を披露したの?」




お、珍しく親父が突っ込んでる。
え〜忘れたとか逃げるの上手い。
目の前でイチャイチャされてる間に奈那に質問。




「どんなドレス着たの?」




やっぱ照れてる。
写真あるでしょ?見せろ〜!
指紋認証ムカつく〜!
拗ねるぞ?拗ねるぞ?いいんだな!?




「ハイ、こっちで見るといいよ祐翔くん」って涼子さんが自分の方の携帯を見せてくれた。
涼子さんには送ってんのかい!
(ママ、獲れたー!)ってメッセージと一緒に送られた写メ。




“ミスキャンパス”って書かれてる。
花束抱えてピンクのドレスに身を包み、満面の笑みで映ってんじゃん。
綺麗過ぎて言葉を失う。




「ちょ、見過ぎ…」と阻止する手を掴む。
これは……グランプリ確定だ。
ティアラが光ってる。
これ、大勢の男たちが見たんだよね?




「後で送ってください」と涼子さんに頼む。
2つ返事で返ってきた。
「ちょ、ママ!」と反論する奈那の頬を優しく抓る。




「綺麗過ぎ……ムカつく」




こんな最高の瞬間に立ち会えなかったなんて悲しいけど、もう目の前に居る奈那を信じてるから。
拗ねはするけど大丈夫、その笑顔で機嫌は直る。




「さ、私たちは瑛莉の散歩でも行きましょうか」と涼子さんが立ち上がる。
「え、まだ寝てんじゃ…」と言う親父の手を引っ張って行ってしまった。
支度を終えて出て行く。
抱っこひもの中の瑛莉ちゃんはもう起きていた。




見送った後、手を繋いでソファーに座る。




「ごめんってば…」




ったく、甘い声で誘惑してくるんだから。
俺のももに手を付いて見上げてくる。
横目で確認して負けそうになるも拗ねてるフリ。





「怒ってる…?」って上目遣い。
もう無理……目合わせられない。
こうなったら否が応でも顔ごと向けられるよね。
頬を包まれてあの瞳に捕まる。




「ヒロ……機嫌直して?」




はい、完敗です。
何で拗ねてたか忘れちゃうくらい破壊力あるんだよ、この笑み。







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