触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
大学の門前がやたら騒がしい。
ま、俺には関係ない事だ…と気にも留めてなかったらどこからかこんな声が聞こえてきた。
「誰待ってんのかな?めっちゃ美人なんだけど」
「高等部までは通ってたらしいよ、さっきの女の子らが言ってた」
なぬっ!?それって……!?
まさか、と思った瞬間携帯が鳴った。
やっぱり奈那からの着信。
でも何で!?こんな平日に。
__ヒロ?終わった?
__うん、今終わったとこ……
__じゃあもう帰る?
__うん、帰るよ
まさか、まさか……まさか!!!
__迎えに来たんだけど……今、門の前。ごめん……すっごい見られてる。恥ずかしいから早く来てほしいな……
やっぱり…!!
走り出しながらどんどん胸が高鳴っていく。
__え、何で!?今日大学は!?
__休校……で、納車日だったの
__納車っ!?
急いで門の外に出たら女子の後輩たちに囲まれてる奈那を発見。
遠巻きに男たちもチラチラ見てやがる。
俺に気付いてくれた奈那が手を振るから案の定たくさんの視線が突き刺さる。
ゆっくり足を進めて目の前へ。
停めてあったコンパクトカーを見つけた。
「買ったの!?」
「うん、どの勤務地になってもマイカー通勤になるだろうから」
そっか、奈那ももう4年生。
就職率ナンバーワンだから来年にはどこかの病院で働いてるんだよな。
こんな可愛い白衣の天使とか……ヤバいだろ。
車から降りて待っててくれたんだ?
周りの後輩たちは俺も知ってる子たち。
「この幸せ者が」とイジられるが本当それは自分自身でも思うよ。
「奈那先輩泣かせたら承知しないからね」と言うのは久々の登場、桜井ひよりちゃんだ。
今でもかなりモテてるし、ここの卒業生と今は付き合ってるみたい。
宏介と同じ建築学科。
純太は相変わらずチャラ男だけど。
あ、チカさんとはお別れになられたそうです。
愛想つかされちゃって自業自得だね。
宏介とマキさんは何度か危機もあったらしいけどまだ続いてる。
俺はと言えばこんな人だかりが出来てしまうほど美人過ぎる彼女とまだ冷めやらぬラブラブぶりなわけで。