触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
【変わらない愛〜最終章〜】
半年後。
仕事にも慣れ始め、目まぐるしい日々を過ごしている。
たまにするちょっとしたミスに落ち込んだりもするけど、休憩時間とかに奈那の写真見たりして気持ち切り替えてる。
「お、なに?それ彼女?めっちゃ可愛いじゃん」
背後から1年先輩のエンジニアに声をかけられて慌てて閉じる。
どれどれ?と周りに集まって来た。
ヤバ、逃げ切れない状況。
先輩はシングルだから紹介してとか絡まれると厄介なんだ。
結局見せるハメになってかなり羨ましがられた。
知らないところで紹介しててごめん。
同じフロア内、
あっという間に噂は広がってしまった。
俺の彼女最強説………
むちゃくちゃ可愛い子と付き合ってるって。
それは事実だけど思った以上に事が大きくなってないか!?
あまり話さない役員の方にまで
「彼女、可愛いんだって?」って弄られるし。
直属の上司にも
「可愛い彼女の分まで頑張って終わらせろよ?」なんて言われるし。
そんなある日に俺はやってしまった……
仕事を持ち帰った翌日に会議で使う大事な資料が入った封筒を家に忘れてきてしまったのだ。
疲れが溜まっていたのかも?
玄関まで持って来たのは覚えてるのに何やってんだか。
通知音とともに送られてきた奈那からのメール。
(これ、もしかしてお忘れ物?)のメッセージと封筒を写した写真が添えられていた。
見た瞬間真っ青になる。
会議まであと1時間。
戻ってたら間に合わない。
でも取りに行かなきゃ…!
急いで奈那に電話する。
__奈那?ごめん、それ今から要るんだ、取りに行くから玄関とこに…
__わわ、ヒロの会社ってやっぱ大きいね?
__えっ…!?
__絶対大事なものだと思って持って来たけど大丈夫だった?
ウソだろ……本気で女神だよ。
奈那だって夜勤明けで相当疲れてるはずなのに……わざわざ持って来てくれたの?
__今どこ?会社前?本当にありがとう…!
__うん、来客用駐車場に停めて〜今正面玄関入ったよん
__わかった、今降りてくね…!
「もしかして彼女、来たの!?」
走り出そうとする俺を同期が止めに入る。