触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「う、うん…ちょっと1階行って来るわ」
「俺も行く…!ちょうど1階に用事あるんだよね〜」
「はっ!?お前ウソだろ…見たいだけだろ?」
「何とでも」
走ってエレベーター乗り込んだけどやっぱりついて来やがった。
「勿論狙ったりはしないけど、目の保養くらいはさせてねん」
っクソ…!チャラ男が…!
エレベーターを降りてフロントの方へ急ぐ。
すぐにわかった。
嗚呼良かった、今日はパンツスタイルだ。
来客用の1人掛けソファーに座ってる。
こっちに気付いて手を振りながら立ってくれた。
グレーのフリルブラウスに黒のサロペット。
サスペンダーが細くてオシャレ。
夜勤明けだから髪はアップのままだけど大きなピアスが揺れてる。
「ごめん、奈那…!」
走って来たからちょっと息切れ。
大丈夫?って笑うからつい抱きしめたくなる。
ダメだ、ここは会社だ。
それにコイツも居る。
隣の奴に気付いても会釈なんてしなくていいから。
仕方なく同期だと紹介する。
「めちゃくちゃ綺麗じゃん…」
当たり前だろ。
何ならこの場に居る人たちも気になってチラチラ見てんじゃないかな。
「顔ちっちゃ〜!めっちゃスタイル良い〜!え、ちょっと待って……顔のパーツ黄金比パーフェクトじゃない!?」
おいコラ、勝手に分析するな…!
奈那が引いてるだろ…!
と思いきや、プッと吹き出して笑ってる。
面白い同期さんだねって受け止めてくれる寛大さに感謝しろ。
もう二度と会わせねぇ…!
「はい、これ」
差し出してくれた封筒。
確かに受け取る。
「本っ当にありがとう、すげぇ助かった」
「午後からも頑張ってね」
メールじゃなくて直接リアルタイムで言われるの凄く嬉しい。
めっちゃやる気出てきた。
駐車場まで送ろうとしたのに出先から帰って来た上司に出くわしてしまった。
「末永?どうした?来客…か…?」
うわ、部長まで奈那を見て固まっちゃってる。
見惚れてると言った方が正解なのか…?
「あ、部長、末永の彼女さんです。忘れ物届けに来てくれてて…」って何でお前が説明してんだよ!
改めて紹介しようとしたけど奈那の方から自己紹介してくれた。