触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「ヒロ……お願い、寒いの」
「わ、わかった」
震える背中をさすりながら身を寄せ合う。
うぅ………これは拷問だ。
ロンT一枚だぞ?
俺もスウェットだし反応したら一発でバレる。
ここは何としてでも死守しないと…!!
足も絡めてきた…!
「湯たんぽみたい…」じゃないから…!
ちょ、どういう状況!?
何考えてるの!?
俺だって男だよ!?
こんなに感じたら……
例え熱があったとしても
こんなことされたらどうしても……
俺は男になってしまう。
必死で我慢して抑えてたのに
顔を上げた奈那は俺を真っすぐ見つめて……
「ヒロ……ギュッてして?」
もう………理性なんてクソ喰らえだ。
そんなものとっくに崩壊してる。
グイッと身体を起こし見降ろしたら。
「そんなに寒いなら………」
気持ちより先に身体が動いた。
理性を失った俺はさっきの仕返しと言わんばかりに、少し力任せにマスクとマスクで唇を重ねる。
うわ……唇の形…わかる。
感触は……温かい。
どうせドキドキしてるのは俺だけなんだ。
ほんの一瞬のキス。
ここまでしたらさすがに我に返るだろ。
ゆっくり目が合って何か言われるのが怖くてそのままギュッと抱きしめた。
悪いけど謝らないからな。
先に壊したのは奈那だから。
「温かい……ありがと」
「う……うん」
「てかさ、当たってるんだけど…?」
当然。
仕方ないだろ。
「ごめん……そのうち収まるから」
「ん………」
次第に震えも止まって静かに寝息が聞こえてきた。
そっと身体を離し横になる。
ていうかこの状況でよく寝れるな!
反応してる俺は置き去りか!
よっぽど眼中にないとみた………
あんなに煽ってくるくせに。
その声で必要とされたら何だってしてやりたくなる。
それでも俺は弟………
まだ弟………
それでもいいと言いながら
やってることは真逆。
俺、本当に何やってんだ……………