触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「でしょでしょ?んで、その後さ…」
「ちょっと待った!まさか買い物付き合わされたりしないだろな?」
「アウトレット行きたいなぁ〜て……お願い!ヒロ、行こ?」
目が段々細くなり静観の眼差しに。
「アウトレット!?なら隣の百貨店にもお使い頼める?」って涼子さん!?
「全然良いよ〜」ってこれ、断りきれないやつじゃん。
ニヤニヤしながらテーブルに置いていた手の袖口を引っ張って「ヒロ〜」と甘えてくる。
病み上がりは最強なんだった。
髪は確かに切りたい。
でも買い物は……かなり歩かされるからなぁ。
「どうせ俺は荷物持ちだろ?」
「バレた?」って悪戯な笑み。
言っとくけど俺、こう見えて全然嫌がってないからな!!
面倒くさそうに「ハイハイ」とか適当にあしらってるけど内心めちゃくちゃガッツポーズだかんな!!
「やった!決まりね?予定入れないでよ?あ、美容室2人分予約取れました」
ドヤ顔でネット予約完了の画面を見せてくる。
食べたお皿を引きながら行く準備をする。
「待って、やぎ座が……」
テレビに夢中な奈那の腕をグイッと引き寄せる。
「おい、それ見てたらまたあのラッシュに巻き込まれるぞ」
「う、うん…わかった」
「行ってきます」
熱でぶっ倒れてた時は………
あれはあれで良かったけども。
いや、良くはないな。
復活したお前はやっぱ最強に可愛いんだから俺の居ないラッシュ時に乗って欲しくない。
涼子さんに見送られ玄関を出た後、
保湿クリームを塗られ……歩きにくい。
駅に着くまでの短い道のり。
普通に並んで歩いていたら腕をツンツンしてくる。
「土曜日、楽しみだね!」
「……買い物がでしょ」