触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
更に一歩桜井さんに近付いた奈那は、さっきとは打って変わって真顔に。
「本当に?ちょうだいってことはその日一日私のもので一切連絡して来ないでねって意味なんだけど伝わってる?」
唖然………!!声、低っ!!
初めて見た……奈那の裏の顔。
びっくりし過ぎて声も出ねぇ!!
言われた桜井さんも少なからず顔に怒りマークが。
「仲の良い姉弟なんですねぇ〜?」
もはや嫌味にしか聞こえない。
え?これ、どういう状況!?
火花バチバチなんですけど……!?
最初の笑顔に戻ってるし〜ヒィ〜何なの〜!?
「伝わってるなら良かった、じゃあまたね〜」
めちゃくちゃ笑顔で手振るじゃん。
下唇噛んでる桜井さん、絶対怒ってる。
俺……どうすれば???
「フフフ…」って謎の笑い方!!
「充分妬いてるじゃん、結果オーライじゃない?」
「え…?」
「とりあえずその土曜日だけは邪魔されたくないわけだ?ふーん……何気に宣戦布告ってことだよね〜?了〜解!」
了解ってどういうこと!?
何を納得したの!?
「エヘヘ、面白くなってきた」
「何が!?」
桜井さんが何を考えているのかわからないから怖いな。
「教えな〜い」ってニヤリと企んでる顔。
まさかあんなふうに敵意剥き出しにして言ってくれるなんて思いもしなかった。
いや、そもそもあれは敵意剥き出しなのか!?
今までの傾向からすると可笑しな行動だ。
でも“私のもので”って言ったよな?
両手で顔を隠す。
ヤバい……ニヤける。
顔が戻らない。
「何ニヤけてんのよ、キモいんですけど?」
「ご、ごめん……」
「どうせ、私のもので〜とか言われたの思い出してたんでしょ?」
「エスパーなの!?」