触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「よし、今日はすごく楽しめたしカップル気分満喫出来たから昨日のキスは許してあげるよ」
予想だにしない奈那の一言。
「え、昨日のキス……ってえぇ!え、えぇ…!!見てたの!?!?」
桜井さんとのキス!?
嘘だろーーー!!!!!
最高のデートのオチがこれって!!!
「違うから…!少し当たっただけ…!事故だよ…!キス…じゃない」
「そうなの?ふーん……」
ふーん……って、信じてない…!?
ケラケラ笑いながら入って行く奈那。
もう姉貴の顔に戻ってる。
ていうかどこから見てたの……!?
どうしよう……!!
「ただいま〜!」
元気な奈那の声が玄関で響く。
慌てて俺も入って靴を脱いでたら……
「キス以上はダメだよ?ヒロにはまだ早いから」と耳打ちされた。
「なっ…!なななっ…!!だからしてないってば…!!」
パタパタと足音がして涼子さんが出迎えてくれたからそれ以上は何も言えないでいた。
「おかえり〜!あれ、祐翔くん顔真っ赤だけど大丈夫?」
心配してくれる涼子さんの後ろでニヤニヤしてる奈那。
クソっ、何も言い返せねぇ…!
「大丈夫です、荷物持たされ過ぎて力入ってただけです」
「もう〜奈那ったら、自分でちゃんと持ちなさい」
「え〜!だってヒロ荷物持ちだもん」
はいはい、そうですよ。
荷物持ちなんてムカつくフリして一生してやんよ。
買ってきたドーナツで機嫌取りしながら俺だけに見えるよう手を合わせてゴメンねポーズ。
ふてくされた顔から一瞬で許しちゃう俺も俺だな。
すぐにマフラーに気付いた涼子さんは奈那を見て「ははーん」と何か勘付いた様子。
すぐさま赤くなる奈那の頬。
「テストでトップ10入ったら臨時ボーナスが欲しいって言ったのこの為だったってわけね?」
「え、臨時ボーナス…?」
「そう、奈那ったらテスト頑張るからお小遣い以外にボーナスが欲しいってねだってきたの」
「え、いくら貰ったの!?」