触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




ハッと脳裏に図書室での出来事がチラついた。
奈那にもこういうことされた。
後ろ振り向かないでって言われた後に……
あの柔らかい身体と脳を刺激する唇の動きと吐息。




こんな恥ずかしいことされてるのに、
俺にはやっぱり奈那を越える人は居なくて常に脳にストックされてる……




チクッと痛みが走った。




「……っつ!」




「見えるか見えないか微妙だけど、これ見つけた時はどんな顔になるかな?」




「え…?」




「出来れば傍で拝みたいけどきっとこれは家に帰ってからだね」




「どういうこと……?」




何も言わずにボタンを閉めてくれる。
自分でやろうとして手が触れて「あ…」ってなる自分が恥ずかしい。




「好きなら好きって言えばいいのに……」




「え…?」




「見た目通り純情で、相手は不器用な天然か……いや、小悪魔か」




あの、言ってる意味がわかりません。




「とにかく、最終手段は施したからね?後は相手次第」




「ねぇ、どういうこと?」




「それは帰ってからのお楽しみ」




「え?え?」




で、帰って来て唖然……!!
鏡に映る紅い印を見てやっと意味がわかった。
しかも首と肩の間の際どい位置…!
うわ〜これどのくらいついてるもんなの!?
こんなの見られたらヤバい。




「あれ?何で今日タートルネック?いつもロンTなのに」




「えっ…?まぁ、たまには」




隠すために着たけど逆に余計怪しく見えてる。
奈那だけじゃなく、家族にも見られたくない。
でも結局皆に「何で?」って聞かれて普段しないことはするべきじゃないなと思った。




「ヒロ、お風呂は?」




「ん……入る」




奈那が入った後に続けて入る。
脱衣場で服を脱ぎ上半身裸になった時、リビングの方から奈那の叫び声がした。







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