触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「きゃっ…!わ〜!ヒロ〜!」




慌ててそのままリビングに向かうと、どうやら蜘蛛が居たらしい。
奈那は虫が大の苦手だ。
すぐさま俺の後ろに隠れる。




「そこ、そこにいるの〜!」




覗きに来た親父たちも俺が居るから大丈夫だと思ったのか、すぐ部屋に戻って行った。
ティッシュを手に取り処分する。




「もう大丈夫」




「こ、怖かった〜」




そんな大袈裟な……と思っていたらヘナヘナ〜と床に座り込む。
同じようにしゃがんで目を合わす。




「本当、虫嫌いなのな」




そこも可愛いとかは心の中で思ってる。




「ヒロ……裸…」




「誰かさんが急に呼ぶからね」




「ごめん……」




「もう少し遅かったら全裸で来るとこだったぞ?」




「もう…!」




こう言うと叩いてくるだろうって確信があってついからかってしまう。
奈那からのボディタッチは何気に嬉しいし。
叩かれた腕を少しだけ引かれた。
視線の先は俺の首元。




しまった…!見られた…!?
とっさに立ち上がり見えないようにする。
何も言わない奈那から逃げるようにしてお風呂に入った。




絶対見られたよな…?
顔が強張ってた。
経験済みって思われたかな?
図書室では童貞を打ち明けておきながらちょっと展開早すぎないか?
誤解を解きたいけど何から切り出せばいいのかわからない。
地雷踏みそう。




そっとリビングに戻るともう奈那の姿はなかった。




そうか……
いつものパターン、見て見ぬふりか。
そうだよな……
知ったところで何だよって話。
奈那には関係ないことだもんな。
ふーん、くらいの感じなんだろう。




だから翌朝も、いつも通りの奈那だった。
通学路も下駄箱も何ら変わりはない。
「バイバイ」と別の校舎に向かって歩き出す。








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