触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
終始隣には桜井さんがキープしてて……
テストも終わったし皆で集まったマ○ドナルドにて。
「あ〜本当お前ムカつくわ」
久々登場の純太と宏介。
ごもっともです。
しかし、桜井さんも無駄な努力はしないからこの2人の前では割と素で居る。
「マジでヒロくんヘタレなんだよね」って真顔で言わないでいただきたい。
「でしょ?やっと気付いたんだ〜?」
「俺は一生告白出来ないに一票〜」
「お前らまで……」
「しっかし同じ空間に居て何もないならさっさと次行けよ〜もう可能性ないべ?」
何もない……わけじゃない。
そんなのお前らに口が裂けても言えないけどな。
他の人には見せないあんな顔見せられたら諦めるなんて選択肢はなくなる。
今の関係でいいから傍に居たいって思ってしまうんだよ。
「そういやお前、今週誕生日だろ?」
純太がニコニコしながら言うから気持ち悪い。
隣からネクタイを引っ張られ苦しい……
「そうなの?何で言わないのよ」
「いや……自分も忘れてました」
っていうのは嘘です。
奈那にさえ祝ってもらえたらそれだけでいい。
桜井さんとはあくまでラブラブなフリだから言う必要ないかと思いまして……
「じゃあ家でもお祝いされるんだ?」
「ま、まぁ……毎年ながら」
「奈那先輩からもプレゼント貰ったり?」
「うん……多分」
「お前本当いいとこ取りだな!」
「ねぇ、その日デートしとく?」
掴んだネクタイをグイグイ引っ張られて顔が近い。
「いや……その日は…っ!?」
その日は家族とだからって言おうとしたら目の前をウィンドウ越しに奈那が通り過ぎて行く。
え……!?誰……!?
隣に並んで歩く見知らぬ男。
私服で年上っぽい。
そっと目で追う。