触りたい、縛りたい、愛したい 〜例え許されない恋だとしても〜
「……姉貴の方が大事に決まってるだろ」
「また姉貴か……」
「え……!?」
その時ポケットに入っていた俺の携帯が鳴る。
通話相手は純太で、カバンから何まで全部置きっぱなしで店を飛び出したもんだから大丈夫か〜?という内容。
「姉貴、お昼まだでしょ?一緒に食べよ?」
「え……私は別に…」
「ダメ…!1人で帰らすかよ、またナンパされっぞ?」
優しく手を引きお店に戻る。
奈那を連れて来たことでテンション上がってる純太たち。
桜井さんも「奈那先輩〜!」と懐いてる。
彼女だと勘違いしてる奈那はそんな桜井さんに引きつる笑顔。
ハンバーガーを美味しそうに食べる奈那の隣で口元についたケチャップソースをつい指で拭ってしまう。
それを見てる3人が固まってるのはお構いなしで笑う。
「さっきまで泣きそうになってたくせに……どう?美味しい?」
「う……うん」
先に食べ終わった俺にポテトを袋ごと差し出し「食べていいよ」って言ってきても摘んでいたポテトの方の手を掴んで「こっちでいい」と奈那の指から奪い取る。
「あ、あのさ……俺ら居ること忘れないでね?」ってすかさず純太のツッコミ。
我に返った奈那は恥ずかしそうに俯く。
それを見た桜井さんは面白くなかったのか、一瞬で場の空気が凍てつく発言を。
「あの、改めて言いますけど私……ヒロくん貰いますね?」
真っ直ぐ奈那を見て言うからシーンとなった。
何も言い返さない奈那は無言で再び食べ始める。
「奈那先輩、いいですよね?」
桜井さんも負けじと戦う姿勢。
こんな時の野郎どもは何も出来ない。
大人しく静まるのを待ってるだけ。
アイコンタクトで「お前がどうにかしろ」と言われても……