触りたい、縛りたい、愛したい  〜例え許されない恋だとしても〜




「私がどうこう言うことじゃないから……ヒロが選んで付き合ってるなら仲良くしてあげて?」




え……何これ……………
急に突き放されちゃった気分。
俺、とうとうフラれた……?




「じゃあヒロくん、誕生日デートしようよ」




「……ダメ!」と立ち上がる奈那。
皆の視線を奪っても桜井さんに食ってかかる。




「その日はダメ……ヒロの誕生日だけは譲らない」




そのセリフにどれだけの意味が込められているのかわからないのが悔しい。




「えっ?またですかぁ?一応、私の彼氏なんですけど」




「毎年家族でお祝いするって決めてるの!」




「じゃあ今年は彼女も参加させてくださいよ」




わ、初めて奈那が黙った……
桜井さん、なかなかのやり手だな。
女のバトルを背筋伸ばして見てるだけの俺たち。
これはいつになったら沈静化するんだろう?
もしや今からヒートアップしたりする?




「私に勝てたら参加しても良いよ」




えっ!?どういうこと!?
何かを悟ったかのように微笑む桜井さん。




「勝負…ですね?再び」




意見が一致したことによりテーブル上のトレイを片付け出す2人。




「皆、行くよ」




奈那の一声に俺たちも慌てて片付ける。
行くってどこに!?
言われるがままついて行けばまさかの自分ん家。
どうりで見慣れた景色だったよ。
で、勝負って!?




「奈那先輩、手加減なしの何本勝負でいきますか?」




「そうね、3本勝負でいこう」




「了解」




おいおいおい……!!
勝負とか大袈裟な言い方するなよ!
ただのゲームじゃねぇか!!




以前、家に来た時に対戦したこともあった身体を使ったリズムゲーム。
リモコン片手に動きまくる。
勝率的には奈那の方に軍配が上がっていたが桜井さんもなかなかの腕前だ。







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