【短】じっとできない


そして、私も帰ろうと準備をする。
どうせ、帰っても一人だし。


…うわー…なんか、滅茶苦茶切なくない?

まぁ、これが現実なんだけど。


はぁ…。


なんか、ずーっと溜息ばかりだ。
つまらない。

なんとなくふらふらする頭を横に静かに振って、昇降口へと向かった。


「細貝さん?」

「ん?あぁ、林くん。今帰り?」

とんとん、と靴を履き替えてつま先を整えていると、肩をちょんちょんと叩かれる。

振り返るとそこにはふんわりとした笑顔を見せる、同じクラスの林くんがいて…私も釣られて笑顔になった。


「なんか、顔色悪いけど大丈夫?」

「あはは、それさっきまりちゃんにも言われたよー」

「佐々木さんに?あぁ、佐々木さんと細貝さんって仲良いんだったね」


そんな会話をしつつ、二人で外に出ると冷たい風が二人の間を吹き抜ける。


「さっむいねー」

「だねー…あー…くしゃみ出そ。ラーメン食べたいなー」

「くすくす。林くんてイケメンなのに面白いよね」

「そ?けど、細貝さんが笑ってくれるならいいかな」

「え?」

「や…なんでもないよ」

林くんは、そう言うとマフラーを掛け直してコートのポケットに手を突っ込んだ。


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