【短】じっとできない


「細貝さんさぁ?」

「んー?なに?」

「汰一のこと、好きなんでしょー?」

「…………は?」


突然の問い掛けに、心臓が止まりそうになり、反応が遅くなる。

これはすなわち…肯定に値する…。


私はなんて言おうと口をパクパクさせてから、ううーんと肩を落とした。


林くんは、汰一の親友。
だから、嘘をついても仕方がない…というか良いことが多分ない。


「好き…なのかなぁって」

「あれだけ、近くにいて今更そこ?」


くすくすと楽しげに笑われて、ムッとする。


「だって、仕方ないじゃん。距離が近過ぎたんだもん」

「そ?けど、他の子に取られる可能性に気付いてしまったわけだ?」

「もう!林くんの意地悪!」


ぽかんっ


そう音を立てて林くんの肩の辺りを叩くと、ごめんごめんと謝られた。


< 14 / 29 >

この作品をシェア

pagetop