【短】じっとできない


「そーんなに、好き?」

「んー…まぁ、向こうはただの幼馴染としか思ってないとは思うけどね〜」


今日は空き教室が音楽室しかなくて、私はピアノを一つポーンと鳴らして、林くんと小分けのチョコのお菓子をポリポリと食べる。


「細貝さんさ、」

「もー…此処まで来たら朱里亜でいいさ」

「んじゃ、遠慮なく」

「で…?」

ポーン、ポーンと同じリズムで鳴らしながら、林くんを見る。


「朱里亜、もうちょい汰一にアタックしてみれば?」

「はぁ?だから、無理だって。向こうは…」

「そうやって、いつまでも逃げてちゃ何も始まんないよ?」

「う………」


そう言われてしまうと、ぐうの音も出ない…。
確かに、好きと意識してから、なんとなく気まずい感じが続いていて、あまり会話らしい会話もなかったけれど。

このまま、この位置で終わってしまったら…そう思うとかなり、やるせないとは思う。


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