【短】じっとできない
「ちょ、危ないって、じゅーりあ!こら、暴れんな!」
「もー!汰一、ちょームカつく!」
「なんだよ、それー?」
自然と赤くなってしまう顔を隠して、一人バタバタとしている私。
そんは私の腕をきゅっと掴んで汰一は言う。
「ほんと、なんか変だぞ?なんかあった?」
「ない!」
掴まれた腕がひどく熱くて、益々私の顔は赤くなる。
なんで、このタイミングで気付くかな。
失敗談でしかない。
こんなんじゃ、幼馴染の立場だけじゃなくて、友情とかさえもなくなりそう。
…そんな風になるなら…私のこの気持ちはぎゅうっと固めて、丸めて地下深くに埋めてしまおう。
汰一に気付かれないように。
でも。
汰一は変な所で勘が働くからなぁ…。
「朱里亜?」
「っ!顔近い!ばか!」
「なーんだよ。こんなに心配してやってんのに?」
「そ、そういうのいらないから!」
私はためらいなく近付いてくる、汰一から逃げるようにして、家までの道のりを急いだ…。