【短】じっとできない
すると、コンコンとベランダの窓が控え目に叩かれる。
そんなに風ひどいのかと思って、カーテンを開けると満面の笑みの汰一。
その手にはいっぱいのお菓子を持って、部屋の窓が開くことを待っている。
いや、ちょっと待て。
一体こいつは何考えてんだ!?
乙女の部屋にこんな時間に不法侵入したいとしているなんて…。
ジーザス!
助けてください!!!
そんなことを思っていると、小首を傾げて汰一は声を掛けてくる。
「じゅーりあ。なんで怒ってんのかは分かんねーけど、これで許して?」
もう一度コンコンと窓を鳴らして笑顔を向けてくる汰一。
私はそれに根負けして、カラカラと窓を開けた。