僕を壊したのは君だから。
「あの……私飲み物買ってくるけど、香田さんも何かいる?」


に、こ、とぎこちない笑顔で問いかければ、美人はじろりと一瞬私を視界にいれて


「あたしは、い」


口が動いた!と思って身を乗り出したのに、


「癒し系パシリちゃ~ん。俺達のも買ってきてよ」



とんと肩を叩いてきた男子の声にかき消されてしまうなんて……!


香田さんがやっとしゃべってくれたんだよ!?



そう思いながらも、”癒し系パシリ”と自分が呼ばれたことに驚いてしまう。



「……それって、」


私?と自分を指差して見れば、きょとんとされてしまった。



「なにいってんの?そうに決まってるじゃん!ついでにお願い。俺コーラがいい」


「俺は炭酸系、甘くないやつね」


「あ……うん、わかった」



で、香田さんは何がいい?、と彼女を振り返ったとき、そこにいたはずの香田さんはもういなくて。


前を向きなおせば、いつの間にか目の前に立っていた。

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