僕を壊したのは君だから。
軽い気持ちで抱きついたんだろう朝比奈くんは、


「宮岡さんて、そんなに素早く動けたんだね」


もう違う話をしている。

……まるで私を鈍臭いみたいに。


「それと何その余裕ない顔?彼氏いたこと無さそー」



さらに馬鹿にしてくるなんて信じられない……。



「か、彼氏くらい……いたこと」


「ないない。すぐぼろがでるから見栄はんないほうがいいよ」



……。

なんて失礼なひとなんだろう。




「まぁそう落ち込まないで」



落ち込ませてきた人がポンと肩を叩いてきた。



「……落ち込んでないです」



小さな反抗さえ相手にしてもらえない。


彼はマイペースに口を開く。



「俺は宮岡さんに彼氏いたことなくてよかったよ」



慰めるような声でそう言ってから、わずかに笑みを深めて、



「元カレに妬かなくて済むじゃんね」


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