僕を壊したのは君だから。
「……あれ、もうこんな時間だった?」



人を呼び出しておいて15分も遅刻してきたこと、やっと気づいたの?



かといって私は文句のひとつも出せず。


時計を見上げる琥珀(こはく)色の瞳をちらりと(うかが)う。



差し込む西日の陰影に際立たされた端正な顔立ち。



……ためいきが出そう。


こんなに綺麗な人はそういないもん。



あの二重瞼をもう少し開くだけで、気だるげな印象は減りそうなのに。



でもこの雰囲気こそ、朝比奈くんの武器なんだと思う。



「わりー。遅刻した」



謝ってるのそれ?
って、聞きたくなるような……。


そう、朝比奈くんだから許されるような謝罪。



なにもかも許してしまいそうになる。



だめ、だめ。しっかりして、私。



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